ソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは対人関係や集団行動を上手に営んでいくための技能(スキル)のことを言います。
SSTは人が社会で生きていくうえで必要な技術を習得するための訓練です。
人は生まれてからたくさんの人と出会い、その関わりの中で無意識的に「してはいけないこと」「してもいいこと」などの暗黙のルールを身につけていきます。
ところが発達障害などのある場合は、それらをスムーズに身につけられないケースがあります。
一つひとつの過程を丁寧に踏み、ゆっくりと社会性を身につけさせていくのがSSTなのです。
ソーシャルスキルは先天的に獲得される能力ではなく、人は生まれてから多くの人たちと関わりながら知識を身につけ成長していきます。
ほとんどの子どもは、わざわざトレーニングをしなくても親や周りの人の行動を観察し見聞きしたり、「挨拶しなさい」「そんなことを言ってはいけません」などのように言葉で習ったりして、自然に社会生活に必要な行動を習得し小さな成功体験を積み重ねることで身についていきます。
しかし、発達面にアンバランスさのある子どもは、それらのスキルの習得に何らかの困難を抱えており単に学校や家庭等で社会生活を過ごすだけでは適切な対人関係を築くことが難しいのです。
その困難さは、その子どもの持つ特性によってさまざまです。
例えば、衝動性が高く感情のコントロールが苦手な子どもはワガママで乱暴な子と誤解されたりし、また人の表情が読み取りにくく場の雰囲気を理解しにくい子どもは風変わりな子・自分勝手な子と思われて友達との人間関係がうまく築けず集団生活が送りにくかったりしています。
特に集団の中に入りにくい子どもにとっては、人との関わりの場を持つことが少なくスキルの獲得が困難になりやすい傾向があります。
そのため、このような対人関係につまずきを示す子どもたちがそれぞれの発達段階において獲得すべきスキルの習得のためにはソーシャルスキルトレーニングが必要となるのです。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)はどこで行ってくれるの?
SSTは病院や療育センターで専門家から受けることもできますが、学校・取り組んでいる放課後等デイサービス・家庭などどんな環境でも行うことができます。
そのため SSTを実施できる人もトレーナーやセラピストなどに限られません。
学校の教師や放課後等デイサービスの指導員・保護者など日頃から子どもと接している人でも日常的にSSTを取り入れることは可能です。
しかし、子どもの特性によっても最適なトレーニング方法は変わってきますので、それぞれのケースに合わせて実施場所・実施者を適切に選択していくと良いでしょう。
特に大切なことは冒頭でも述べたようにスモールステップを踏んでいき、出来ないことを叱るのではなく出来たことを認めてたくさん褒めてあげ、子ども自身が楽しみながらソーシャルスキルを学びたいという意欲を持ち、自然に社会性を身につけていくのに重要なポイントなのです。
保護者の方や指導する側に立つ人は長い目で物事をとらえ、ゆっくりと成長を見守っていく姿勢が必要です。