ADHDの特徴
はじめに
ADHD、別名注意欠陥多動性障害を抱えているお子さんにはどのような特徴があるのでしょうか。
ADHDは基本的に知的の遅れはありませんが、障がいがもたらす行動が、「出来の悪い子」「問題児」と捉えられてしまいがちです。
ADHDは当初脳が正常な形ではないことから起こる状態だとされていましたが、現在は脳の神経伝達物質の機能に原因があるのではないかと言われています。
基本的な症状は不注意と多動性・衝動性の二つです。不注意が優勢なお子さん、多動性・衝動性が優勢なお子さん、どちらも持ち合わせた混合タイプのお子さんと3つのタイプに分けることができます。
特徴
不注意は、注意の持続、周囲の様々なことに注意を配ること、必要に応じて注意を切り替えることに困難さがあります。
本来私たちは、注意を様々な状況、用途に応じて使いわけています。例えば学校では先生の話に集中を向けながら(注意の持続)、先生の言ったことをノートに書くことが出来ます(注意の分配)。
そして他の生徒が発言すればそちらに注意を切り替えることが出来ます(注意の切り替え)。
しかし、不注意優勢あると、先生の話に注意を向け続けることができず、少しでも気になることがあると周りの状況を考えず行動に移してしまいます。
また不注意の特徴で他の子よりワンテンポ遅れる、と言われることがありますが、これは注意の切り替えが難しいために起こっています。
多動性は、着席する場面で離席し動き回っている、座っていてもキョロキョロする、手足が絶えず動いているなどの特徴があり、学校では「落ち着きのない子」として評価されることがあります。
衝動性は、物事を瞬時に決めることが出来ますが、それゆえに大事なことでもよく考えずに決定してしまうことがあります。また、相手が話し終わらないうちに発言する、絶えずしゃべり続ける、順番を待てないなど、行動をコントロールすることに困難さがあります。
また、ADHDの特徴でイライラしやすい、暴力的があげられますが、これは障がい本来の症状ではありません。
人は障がいが有る無しに関わらず、私は価値がある人間だという感情と、人に認められたいという欲求があります。
しかし、ADHDを抱えるお子さんはその特徴的な行動から叱られることが多くなってしまいます。ただ、自閉症児とは違い相手の感情を理解する、空気を感じることはできます。
叱るということは大人からすると躾の一つと考えるでしょうが、叱られる側からすると「自分を否定された」と感じ、叱られることが続けば「私は価値のない人間なんだ」と思うようになってしまうのです。
つまり分かっているのにやめられない自分と、それを理解してもらえない相手へのフラストレーションから、イライラが募り暴力的な行動を取ってしまうこともあります。
まとめ
ADHDのことを理解することは、彼らの存在を認め、彼らと良好な関係を築くための第一歩になると思います。
ADHD=ダメな子と決めつけるのではなく、彼らの行動特性を理解したうえで、彼らに合った関わり方をみつけて欲しいと思います。