子どもの発達と睡眠
以前から日常的に目にしていた光景で、違和感を覚えたことをお話ししたいと思います。
放デイの仕事をする前のことです。
深夜に0~5歳児を連れた家族が24時間営業の店舗で買い物や飲食をしている様子など、家庭でも遅い時間まで起きている子どもの話を聞いた時に、本来寝ている時間なのに子どもの発達に悪影響はないのだろうかと危惧していました。
そのことについて、以前勤めていた幼稚園の園長とお話しする機会があり、年長・年中クラスで1人の教諭が40人の幼児保育していた頃と比較したところ、今ではとうてい無理だとのことでした。
子どもがじっとお話を聞けない、集中する時間が短い等、複数教諭での対応に追われている現状を教えて下さいました。
子どもと睡眠の関係について調べてみると、成長のために必要な細胞組織の生成と新陳代謝を促す成長ホルモンは、身長を伸ばしたり、筋肉をつくったりするのに欠かせませんが、脳の発達や記憶などにも関係するホルモンです。
この成長ホルモンは睡眠中、特に入眠後最初に訪れるノンレム睡眠中に多く分泌されると言われています。つまり睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで、身体の組織や脳が形成され発達するのです。
「寝る子は育つ」といいますがその反対に睡眠不足は、成長の遅れや食欲不振・注意力や集中力の低下・眠気・疲労感などをもたらします。子どもの場合、眠気をうまくコントロールすることができずに、イライラ・多動・衝動行為などとしてみられることも少なく無いようです。また睡眠不足は将来の肥満の危険因子になることも広く知られています。
このように、子どもにとって睡眠は日中の疲労を回復するだけではありません。乳幼児から思春期の睡眠は、心身が大きく成長する時期に必要なホルモンが分泌される発達に欠かせないもっとも重要な時間なのです。
そのため、子どもの睡眠の問題には早期に対処することが大切です。睡眠障害が改善されることで発達障害にもよい影響を与えると考える医師や研究者も多く、さまざまな研究も進められています。
適切な睡眠習慣と健康に関する知識を学校教育で身につけていく、あるいは社会全体に周知していくことが必要です。
人の都合で夜型になるような生活習慣は小さいうちに改善しなければ、将来子どもに重篤な悪影響があること皆さんに知って頂きたいと思います。