感覚過敏と感覚鈍麻
今回は、感覚過敏と感覚鈍麻についてお話したいと思います。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚が異常に敏感なことを「感覚過敏」
逆に五感が異常に鈍いことを「感覚鈍麻(どんま)」と言います。
これらの原因は、脳の神経伝達が上手くいかないからだと言われています。
体調や心の状態によっても感覚異常が強く出たり、弱くなったりすることもあります。発達障害の方に必ず感覚過敏や感覚鈍麻があるわけではありませんが、多くの発達障害の方達が感覚の異常さに困っておられるようです。
感覚過敏
<視覚が過敏な場合の例>
空を泳いでいる鯉のぼりが自分に向かってくるように感じる、ノートの白いページが光っているように見える、黒板に書かれた字が踊っているように見える、小型犬がライオンのように大きく見える、光を見ると目が痛くなる、など。
<聴覚が過敏な場合の例>
音が実際以上に大きく聞こえる、聞こえてくる音が全て合わさって聞こえる、くしゃみやマジックテープを剥がす音など特定の音を異常に不快に感じる、響く音が怖く感じる、など。
<嗅覚が過敏な場合の例>
匂いだけで香辛料の種類がわかるくらい敏感に感じとる、他の人にとっては良い匂いだが特定の匂いを異常に不快に感じる、など。
<触覚が過敏な場合の例>
シャワーや雨の水が肌にあたると針で刺されたかのように痛い、長袖長ズボンをはくと圧迫感を感じる、再生紙を触ると気分が悪くなる、寒さ暑さを異常に感じる、など。
<味覚が過敏な場合の例>
特定の食べ物しか食べることができない、刺激物を食べると口の中を針で刺されたかのように痛い、食品の味が混ざるのが無理、など。
感覚過敏の場合は、まわりの人から分かりにくいので、我儘だ、臆病だ、怠けているなどと、本人の努力や我慢が足りないなど誤解をされてしまうことがあります。
また、まわりが出来ているのに自分だけがうまくできないとなると
本人自身もだんだんと気持ちの面で落ち込んでしまい、自己肯定感もなくなってしまいます。
感覚鈍麻
<触覚が鈍磨な場合の例>
オムツかぶれで血が出るほどお尻がただれてしまっているのにお尻拭きで拭いても全く痛がらない、注射をしても泣かない、暑さ寒さを感じない、など。
こういった場合、保護者は子どもが我慢強いと良い風に思ってしまうこともあるのですが、オシッコやウンチが出て気持ちが悪いという感覚が鈍く、滅多に泣かない為、オムツ替えがおろそかになり、お尻がただれてしまうという悪循環を起こしている場合があります。泣くのはお腹が空いた時だけなので一見育てやすい赤ちゃんだと思われる場合もあります。このように滅多に泣かない赤ちゃんのことを「サイレントベビー」と呼びます。
育てやすいと思っていた赤ちゃんは、成長が遅い、目を合わせない、喃語をしゃべらない、後追いをしない、人見知りをしない、あやしても笑わない、壁の方を見て独り言を言っている、刺激を求めて自傷をする、爪先立ちで歩く、クルクルと回り続けるなど奇妙な行動から後々感覚異常、発達障害だと気づく場合もあります。
感覚過敏と感覚鈍麻
感覚過敏、感覚鈍麻がある=発達障害ではありませんし、サイレントベビー=発達障害でもありません。
しかし、発達障害がある方に感覚異常(感覚過敏や感覚鈍麻)がある確率は高いと言われています。感覚異常は関わり方、それぞれにあった対処や、工夫をすること、そして周囲の理解で本人の生きづらさを大きく改善することができます。
感覚異常で困っている場合や、少しでも気になることがある場合は、早めに受診し相談されることをおすすめします。